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2012/07/20

17. ( 闇に葬る )

17. ( 闇に葬る )

曽我部氏は結局「稲葉事件」をどうとらえていたのだろうか。ひとことで表現するのは難しいのだが、「凄まじい腐臭のする警察の組織犯罪」が最も的確な表現なのかもしれない。

後に表面化したことや当事者たちの証言、告白だけではすべてが解明されたとは言い難く複雑かつ異様不気味な闇が背後に広がっている。

既に書いた事と重複するのだが稲葉事件が結局は何だったのか考えるうえで重要なことなので再確認すると。

著者はいくつかの犯罪の密接な結び付きを指摘している。ひとつは警察権力による犯罪、ひとつは暴力団による犯罪、さらに外国犯罪組織による犯罪、そして、おまけ的事件としてあったのが稲葉警部個人による犯罪だ。

また「稲葉個人の事件」と見てしまうと、背後にある巨大な犯罪構造隠蔽行為を見失ってしまうとも述べている。

稲葉事件が象徴していたのは、拳銃を挙げるために全国の警察組織がより重大な犯罪に対し目こぼしをしていたという恐るべき不作為だった。拳銃の押収実績をあげるためならば覚醒剤取引を見逃し、あるいはその違法捜査に協力した者たちに盗難車などの密輸出を特権的に与えていた。

最後に警察組織そのものが事件の全体像を解明されることを恐れ隠蔽へと向かった事が最大の問題であり、権力犯罪の構図あまりにも巨大であると結んでいる。

「警察という巨大な権力組織」がその目に見えない権力を背景にして何をどこまでできるのか。「死に至らせられた」方川氏や「変死」した渡辺氏のように一般の市民が想像すらできない決して表に出ることがない「警察組織の醜悪な裏の顔」があることを「稲葉事件」がわかりやすく示して見せてくれたのである。

稲葉と犯罪者集団が道警幹部たちから庇護されていた背景には道警だけではなく、他府県の警察本部や警察までが関わっていた可能性を拭い切れない。

道警本部が単独で稲葉の不正を容認していただけにとどまらず、全国的に稲葉や稲葉と同じような役割を担っていた者たちが複数いたのではないか、また彼らは国家的に仕組まれた不正を遂行するために、拳銃や覚醒剤の密輸入をしていたのではないのか、という恐ろしい想像が湧く。

著者のこの指摘は非常に興味深い。

「著者が本の中で指摘している警察組織にとっての致命的な巨悪」を矮小化あるいは隠蔽するために、当時の警察機関が「裏金問題」を発覚させ、メディアを巻き込んで国民の注目を逸らしたのならば私のなかでは辻褄が合い理解のできることである。

著者は稲葉事件当時は「想像」と控えめに表現しているが、2007年「白の真実」では日本を世界一の覚醒剤消費国にしているのは警察組織!とまで断言している。象徴的に述べている「国家的に仕組まれた不正」とはこのことと関係があるのかも知れない。

五〇号事件は稲葉氏の本の中でも潜入捜査についての詳細が語られているが、広域捜査のきっかけである800ものブラジル製拳銃ロッシーがまとめて一度に国内に密輸入されたこと自体にわかには信じがたい話である。何かがあるのではと考えてしまう。

最終的に警庁が捜査を警庁に委ねたのだが、当時のS石上(元暴力団幹部)の話ではロッシーの保管に警視庁が運用していたSが絡んでいたという。そのためになぜか道警と千葉県警は合同捜査からはずされ警視庁が単独で捜査する事になる。

この時の石上は道警からも稲葉氏からも信頼されていたので「警運用S絡みの話」は信憑性が高い。

そのことと関係があるのか800丁のうち700丁以上の拳銃ほとんどの行方は現在に至るまで「うやむや」のままである。

この構図、後の「道警と稲葉とS」の組織犯罪と同じ構図ではないのか。

道警でSを運用する遥か以前から公安部の本店である警視庁が捜査協力者を運用していたことが推察できるのだが、稲葉と同じような役割を担った警庁の警察官がSを介して大量の拳銃を保管し管理していたのではないか。ワキの甘い道警と違い公安部の砦でもある警庁だから絶対に表面化しないのではないか。

とても警察とは思えない「なんでもあり」の「稲葉事件」で明らかになった警察と暴力団の談合関係を考えれば、単に表面化してないだけの「ヤバイ事」がほかにもあるのではないか。

北海道警察本部事件」がたまたま海面に現れた氷山の一角にすらすぎない可能性を考えてしまう。

そして私が思うに実はもっと深刻な問題なのだが、「稲葉事件」では権力を監視するはずのメディアが意図的に正常に機能させず、権力機関に都合のいいように世論を誘導していた事実が見え隠れするのである。この事件を命懸けで追っていた著者がその事実に気付き、たまたま書き記しているが警察権力が組織として致命傷を負いかねない場合、マスコミが報じていることは情報が操作されていたりフィルターがかけられていたり、まったく隠蔽されている可能性すらあるということである。

ジャーナリストやマスコミが企業としてのメディアに配慮したり、都合の悪い「事実」や「可能性」を検証しなかったり、何らかの報復」や「不利益」を恐れて徹底追及せずに見てみないふりをし、へ理屈言ってタブーに挑まないのなら日本のジャーナリズムは瀕死の状態である。何のためにジャーナリストや評論家は存在するのか。テレビで出演料を稼ぎ、名前と顔を売って著作本の売り上げを伸ばし講演料を稼ぐためではないと信じたいが。

『「枝葉末梢の不祥事」に熱弁をふるっているいかにも良識人のふりをしたジャーナリスト、評論家は疑ってかかれ。』  今年の私の座右の銘?である。

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警察の組織犯罪」カテゴリの記事

コメント

読んでいてどれもこれも鳥肌が立ちます。みんな自分に当てはまるからです。私が心配することは、この文は間なく「消去」されるのではないでしょうか?権力はそれくらいの力を持っていると思います。
国民の一人でも多くの人間に、この事実を知って頂きたいです。

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